男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 何のわだかまりもなく、二人は愛し合えるのだ。
 きっと、私との関係を清算したとしても、レオンとのビジネスパートナーという関係は急には切れない。
 こちらは書面を交わしているから。

 永遠にレオンとビジネスを共にするつもりは、私だって考えていない。
 ラブラブな二人を見るのは辛いだろうけど、それも一時だと思えば何とななる。というか何とかするしかない。
 こんな時でも愛とお金を天秤にかけるように物事を考える私は、やっぱりレオンの相手には相応しくない。
 マリーゴールドとレオンの純粋な恋を前にすると、とても汚く打算的に思えて反吐が出そうになる。
 けれど現実はシビアで、前世の考え方を持つ私には、これが普通なのだから致し方ない。

 そこまで思考を巡らせていたその時、レオンは重々しい口をやっと開いた。
 
「私の運命の相手は、あなたです。私が好きなのもあなたです、リーチェ。私はずっとそう言ってきましたよね?」

 この期に及んで、まだそんな事を言うの?

「……そんなに賭けに負けるのが嫌なのですか?」

 私がどんな難題をふっかけてくるか分からないと思っているから、そんなに融通の効かない子供みたいな事を言い続けるのだろうか。

「それとも、私に申し訳ないと思っているのですか?」

 レオンの凛々しい眉がピクリと揺れた。