男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

「怪我をしていないのは治療したからです。外傷や痛みは消えても、あなたの体内では細胞レベルで体を修復しようと活発に活動している状態です。ですからどうか大人しく安静にしていてください」

 ああ、もうそんなことはどうだっていいんだってば! それより恐ろしいことが目の前に広がっているというのに!
 いっそのこと、もう一度倒れようか! むしろ、もう数日ほど眠らせてくれ! じゃないと、今なら羞恥心で死ねるっ!

 ーー私がそう思う理由は。


「ああ、これらの絵のことですか?」


 あっさりとそう言って、レオンは懐から何枚かの紙を取り出す。
 四つ折りに折り畳まれたそれを、丁寧に開いていくレオンを見て、私はーースンと大人しくベッドに仰向けになり、静かに目を閉じた。
 レオンが持つ紙がなんなのか、その中に何が描かれているのかをすでに理解していたから。
 何を隠そうそれは。

「肖像画の下絵、でしょうか? リーチェにこのような絵の才能があるとは知りませんでした」

 ……そうです。
 それらは私が描いたレオンの線画。
 様々なアングルから視線から攻められたとしても、対応できる(鼻血を出さない)ようにするためのもの。