男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 たとえ相手が、推しキャラ同士だったとしても。歯軋りしてしまう気持ちは隠せない。
 いい感じだと勘違いさせておいて、運命はあっさり私に背中を見せた。
 きっとそれもこれも、私に徳が無いせい。そうとでも思わないと、やってらんない。

 だから来世はどうか、幸せが舞い込みますように。
 またどこかの世界のモブキャラでもいい。たとえお金がなくてもいい。
 今度こそ自分の思いを素直に表現できて、好きな人に好きだと伝えることができますように。

 そんなささやかな願いを叶える程度には私、今世を頑張りましたよね?
 もしもこの世に神がいるのだとすれば。
 もしもまた私を転生させようと、新たな人生を与えようと考えているのであれば。
 どうかそんな小さな願いだけでも、叶えてもらえますように。

 ーーそう思ったと同時だった。

「  」

 目の前には何もない、真っ白な世界が広がっている中。
 けれど決して虚無感に襲われることも、悲観的な感情に流されることもなく、私はただ部屋の真ん中なのか、端なのか、上なのか下なのか、そもそもそういった類のものが存在するのかもわからないような場所で、私は何かを耳にした。