男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 けれど今のキールにとって私がレオンと正式に婚約しているのか、していないのかはもう問題ではないだろう。

「お前はこの帝国において、目の上のコブなんだよ。お前がリーチェにしようとしていた手を使い、族に襲われて死んだとすればいいだろう。ここには族役になってくれる者もいるからな」

 床に転がったまま動かない、フードを被った男達。レオンはきっと彼らのことを指したのだろう。

「俺が族を捉え、奴らを抹殺したとすれば事件は丸く収まる。そうは思わないか?」
「ふざけるなっ!」
「ふざけたのはお前の方だろう。お前はリーチェに手を出すべきではなかった。そのことをあの世で後悔するんだな」

 レオンが剣を持ち上げ、キールの心臓に向けて狙いを定めた、ちょうどその時だった。

「帝国一と謳われた男も、女のことになると腕が鈍る者だな」

 相変わらず顔を歪めているキールだが、その表情には勝ち誇ったような笑みが見えた。

「奥の手というのは、最後の最後までとっておくものだろう?」