男主人公が私(モブ令嬢)の作る香水に食いつきました

 きっとレオンなら、きちんと別れることができなかった私を気にして、誰とも付き合おうとしないかもしれない。
 マリーゴールドもレオンの気持ちを汲んで、距離を置くかもしれない。
 ……けれど運命が二人をくっつけるだろうから、結局のところ全ては杞憂に終わるはずだ。
 とはいえ、結局私は自分が作り出した推しキャラ達を不幸のルートへと誘ってしまったことに、変わりないのだけど。

 全ての出来事が走馬灯のように駆け巡り、止まらない思考もやがて、痛みと共に止まる時がやってくる。
 それはもうすぐそこだ、と私は瞼を閉じたまま思っていた時だった。

「ぐぅぁ……っ!」

 私の頭上で悲痛な呻き声と共に、私の胸にナイフが落ちる衝撃。
 さらに複数の呻き声と共に、ドサリと何かが崩れ落ちるような音も聞こえて、巡っていた思考がピタリと止まる。
 ナイフは刺さったというよりも、落ちてきたとい感覚で、痛みはない。
 訳のわからない状況から、私は今の現状を確かめるべくソロリと瞼を押し開けた。

 ーーぽたり。

 瞼を開いた瞬間、私の胸元に落ちてきたのは真っ赤な血。
 キールが痛みを堪えきれず苦しみ悶える表情と共に、さっきナイフを握りしめていた手から血が流れ出ていた。