「ならリーチェさんでいいっすね! なら早速取り掛かります」
極まりの悪さ、居心地の悪さを感じているとレオンに悟られないよう、私はオットーの錬金術を見ようと彼に近づく。
オットーは私が依頼した草花と果実の山の前に再び立ち、その前に三つの小さな遮光瓶を並べる。精油を入れる、見慣れた瓶だ。
その蓋を開けた状態で並べ置き、オットーは自分の右手首を掴んでその右手を広げ、草花にかざした。
「ーー抽出」
カッと目を見開いた彼の瞳ーー漆黒の丸い瞳の中に、陣が描かれる。それはさっき彼が地面に描いていたものとは違う円陣だった。
彼の瞳に陣が浮かび上がったと同時に、巻き起こる竜巻。三つのとぐろを巻いたような風が空に向けて噴き上がり、やがて細く、そして長く伸びていく。まるで蚕の糸を紡いでいくように。
その細い糸が今度はオットーの目の前に置かれた瓶に、それぞれ吸収されるように飛び込んだ。
魔法のランプに閉じ込められる魔神を見ているような気持ちになっていた私の興奮を嘲笑うかのように、辺りは一気に静まり返った。
その糸も、風も、まるで元々無かったかのように、この場所には小鳥の囀る音しか聞こえない。
「ほい、いっちょ上がり!」
オットーはそう言って、瓶の蓋を閉じた。
極まりの悪さ、居心地の悪さを感じているとレオンに悟られないよう、私はオットーの錬金術を見ようと彼に近づく。
オットーは私が依頼した草花と果実の山の前に再び立ち、その前に三つの小さな遮光瓶を並べる。精油を入れる、見慣れた瓶だ。
その蓋を開けた状態で並べ置き、オットーは自分の右手首を掴んでその右手を広げ、草花にかざした。
「ーー抽出」
カッと目を見開いた彼の瞳ーー漆黒の丸い瞳の中に、陣が描かれる。それはさっき彼が地面に描いていたものとは違う円陣だった。
彼の瞳に陣が浮かび上がったと同時に、巻き起こる竜巻。三つのとぐろを巻いたような風が空に向けて噴き上がり、やがて細く、そして長く伸びていく。まるで蚕の糸を紡いでいくように。
その細い糸が今度はオットーの目の前に置かれた瓶に、それぞれ吸収されるように飛び込んだ。
魔法のランプに閉じ込められる魔神を見ているような気持ちになっていた私の興奮を嘲笑うかのように、辺りは一気に静まり返った。
その糸も、風も、まるで元々無かったかのように、この場所には小鳥の囀る音しか聞こえない。
「ほい、いっちょ上がり!」
オットーはそう言って、瓶の蓋を閉じた。



