14
 ボクたち二人は新宿駅から内回りの山の手線に乗り、若者の街渋谷を目指した。


 さすがに人が多い。


 ボクたちが普段住んでいる田舎町とは大違いだ。


 ボクも愛理香も人込みに紛れ込みながら、慌しい首都の雰囲気を味わう。


 やがてものの数分でボクたちが乗っている電車が渋谷駅に着いた。


 二人で並んで手を繋ぎ、歩き出す。


 渋谷のスクランブル交差点はさすがに圧巻だった。


 大勢の人が信号が青になったのを機に一気に歩き出す光景は、ボクにとっても愛理香にとっても意外だった。


“ああ、こんなに人が多いんだな”


 ボクはそう思いながら、渋谷の街に紛れ込み、あちこちを散策して回った。


 だが、さすがに人馴れしてないからか、ボクたちはすっかり疲れきって、近くにあった全国にチェーン展開するコーヒーショップで、遅い朝食を取ることにした。