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「そろそろ出ようか?」


「ええ」


 ボクたちは頼んでいたハンバーガーとフライドポテトを摘み、冷たいコーヒーで喉奥に流し込むと、揃って立ち上がった。


 食堂出入り口でトレイを返し、室外へと出る。


 桜は風に揺られて散っていく。


 桃色の花弁がどんどん落ちては、学内の通路を埋めてしまう。


 ボクと愛理香は手を繋いで歩き出す。


 そう、お互い抱え込んでいた家庭内の問題を打ち明けあって、心の中のモヤモヤが綺麗さっぱり洗われてしまったから、安心できたのだ。


 キャンパスを突っ切り、正門前まで来ると、大勢の学生がバスを待ちながらお喋りしたり、ケータイでメールを打ったりしている。
 

 ボクたちはその集団には紛れ込まずに、自分たちの部屋に向けて歩き始めた。


「純平の部屋に来てもいい?」