ある日、転校生がやってきた。 2nd days

















とまあ、それが解決しないまま。

人気ファッション雑誌NeyBeの号外が発売された。

そう、号外、それは、私が載っているやつで――


「ふーん…」


なんでしょうこの状況。

レイくんのお家に招待されて、レイくんの部屋で正座をする私。

その隣で、雑誌に載る私をじーっと見るレイくん。

あの、恥ずかしすぎて死んじゃうんですけど。なんでしょう、これ。


「………果音」

「はい!」


なぜか緊張して敬語になってしまった。

雑誌を閉じて私にずいっと近づいてきたレイくんは、そのまま私の頭を固定して唇を塞ぐ。


「んむ」

「……果音は、俺のだよな?」

「レイ、く……ふ、んっ」


レイくんは瞳をぎらぎらさせて、猛獣みたい。

私を喰べちゃうんじゃないかってくらい目が燃えていて、熱い。

そんなレイくんからの問いにうん、と頷きたかったのに、レイくんの唇がその隙を与えてくれなかった。


「果音は俺の彼女。でも果音が決めたことだから、否定はしない」

「………」

「でも、嫉妬くらい許してくれるだろ?」


許す、というか。

してください、というか。

私は考え無しだからレイくんがまさかこういう反応してくるとは思わなかったけど、でも結局嬉しい。


「な、果音」

「レイくん……?」


レイくんは、私の逃げ道を塞ぐように腰に腕を回すと、甘い視線で私を捕える。

そうして私は簡単にレイくんから目を離せなくなってしまった。


「――……」


レイくんが何かを口にしようと息を吸った、そのとき。



プルルルル、プルルルル!



「……………………」


ええ、今ここで?

なんと、私のスマホが着信を告げた。

スマホを取りだしつつ、無視してしまおうかと眉を顰める。

タイミング悪いなあ、いったい誰だろう。


『雨宮 梨花』


あめみや りか?って誰だっけ……?

思い出そうと視線を彷徨わせると、雑誌の中の私が目に入る。

……ああ!モデルにスカウトしてきた人か!


「はい!結野です」


電話を取ると、それはそれはウキウキした声が聞こえた。


『あ、果音ちゃん?こんにちは!』

「え?ああはい、こんにちは?」


なんかやけにテンション高いな。元々高かった気がしないでもないけど。

それでも前回より声のトーンが二個くらい高い。


『雑誌のことなんだけど!果音ちゃん、早速大人気よ!』

「え」

『さっきからあの読者モデルは誰だって、電話が鳴り止まないのよ!』

「ええ!?」

『ってことで、またモデルをお願いしたいの!いいかしら?』

「えええ!?」


雨宮さんの強引さは健在のようだ。

ということでまあ、いろいろあって。

予定を擦り合わせたりしたあと、雨宮さんは言った。


『あ、そういえば社長が会いたいって言ってたわよ』

「ぶっ」


私は思いっきりむせた。

聞いてない。そんなこと聞いてない。まったく聞いてない。

うそ……。社長?

モデル事務所アールフェディの、社長?

それを先に言ってよ!!


「むむむむ無理ですよ!社長なんて!」

『あ、ごめんもう了承の返事出しちゃった』

「ええええええええ」


なんてこったい。


「……わかりました」

『ありがとー!』

「あ、それであの、相談なんですけど」


私は雨宮さんに、レイくんが次の仕事から一緒にやりたがっていることを伝えた。

すると雨宮さんは。


『果音ちゃんが言うのならわかったわ!話は通しておくわね』

「ありがとうございます!」


優しいのかビジネスチャンスを見逃さなかっただけなのか。

快く引き受けてくれた。雨宮さん、レイくんの正体を聞いても全く動揺してなかったな……。

「あ、そうなの?はーい!」だって。いくらなんでも軽すぎじゃないだろうか。

ピ、と電話を切ると、レイくんは何やらスマホで調べことをしていた。

なんだろう、と思っていると、「あーやっぱり」というレイくんの呟きが聞こえてくる。


「どうしたの?」

「果音、雨宮さんに俺のこと、『三ツ瀬組の澪』ってちゃんと伝えたよな?」

「うん」

「それでも了承した。俺はヤクザなのに」


うん、それはおかしいよね。

…………んん?

え、待って。じゃあなんでレイくんは一緒にやるなんて言ったの?


「……もしかして、カマかけた?」

「お、せーかい。果音もヤクザ思考に慣れてきたな」


レイくんはよしよしと頭を撫でてくれた。

レイくんがヤクザでも仕事に加わることを了承した、つまりヤクザであっても動揺しない何かがあったってことだろう。

普通ならヤクザを雇うなんて、嫌でしかないはずだ。それくらい私でもわかる。

つまり。


「……芸能事務所アールフェディの社長は、ヤクザだな」


そういうこと。


「社長の名前は雷(らい)。西園寺組の組長らしい」

「なんか最近ヤクザと関わりすぎてあんまり驚かな……待って、西園寺?」


なんか、聞きづてならない名字が聞こえたような。


『総長、名字がすっごく嫌いなんですよ』


……西園寺、 嵐。

そして、社長の西園寺 雷。

もしかして嵐くんって、おぼっちゃま……⁉︎