「あ、蓮雅」
「零亜、早いかもだけどキャンプファイヤーのとこ行く?」
「ん、行こ!フォークダンス頑張ろう」
後夜祭では、花火とキャンプファイヤーがある。
花火が上がってる間、キャンプファイヤーの周りでフォークダンスをするのだ。
「じゃあみんな、先に行ってるね!」
『行ってらっしゃーい!』
みんなが手を振って見送ってくれて、私と零亜は教室を出た。
「楽しみだねぇ」
零亜に声を掛けると、零亜は笑顔でうなずいてくれる。
「蓮雅と一緒にダンスができるなら死んでもいいなぁ」
「し、死んじゃだめだよ!」
零亜が死んだら私も寂しくて死んじゃう・・・と言うと。
「ふふ、蓮雅は可愛いなぁ」
零亜はニコニコと機嫌よく笑って頭を撫でてくれる。
「・・・あ、もう人集まってきてるね」
日が沈み始め、あと20分くらいで暗くなるだろう。
それまで近くの売店でも見ていようかな?
「蓮雅、なに食べたい?」
零亜も同じ気持ちだったのか、売店を指差して首をかしげる。
「そうだなぁ・・・零亜はあの焼きもろこしでしょ?」
「分かってくれてるね。じゃあ蓮雅は・・・フラペチーノかな?」
「残念!あのラテ味のクレープでした!」
愉快な会話をしながら石畳の上を歩く私たち。
「蓮雅のコトもっと知らなくきゃなぁ」
零亜は素直に当てられなかったことを落ち込んでいて、可愛いなぁと思った。
「俺がおごるね」
「いや、クレープ高いから自分で買うよ。なんなら焼きもろこし私がおごろうか?」
アルバイトしてて貯金いっぱいだし、というと、零亜は即座に首を横に振った、残念。
「アルバイトはもうやめたってコトだよね?大丈夫だよね?!」
「大丈夫だって。お店も安全だったし」
そういえば零亜はずっとアルバイトに反対してたっけ。
危険だとかなんだとか・・・年上の男子がなんとか・・・って言ってたような。
「もうやめたから、ね?もう心配するコトないよ」
そう伝えると、零亜はあからさまにほっとしたように顔を緩めた。
そのあとはお店がたくさん見える庭園のベンチで買ったものを食べて・・・(結局零亜がおごってくれちゃいました)。
「・・・ん-!やっぱお金返すぅ!」
「駄々こねる蓮雅も可愛いなぁ」
あまりのおいしさとクレープの高さに再度財布を出す。
「はい、これ受け取って!」
「やだよ、俺は蓮雅にかっこいいところ見せたいんだから」
そういって零亜は丁寧な動作で私に財布を仕舞わせた。
「おごってくれなくても零亜のコトカッコいいと思ってるから!おごってくれなくていいよ!」
「・・・もう、ホント素直な時の蓮雅の相手は大変だなぁ、心臓が削られる感じ。・・・じゃあ、次からはおごらないから」
零亜はそう言って私は一度は(●●●)納得したんだけど・・・。
「次もおごれる機会があればうれしいなぁ」
・・・そんな零亜の呟きを拾ってしまった。
おごるつもりなんじゃん・・・。