彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 その夜。

 日付が変わっても、私たちは何度も触れ合っていた。

 あの日のディスティーノメモリアが、私にとって一番傷ついた場所ではなくなっていく。

 確実に。

 幸せな場所へと、変わっていく。

 「……もう、絶対離さない」

 低く落ちた声に、胸が強く鳴る。

 「私もです」

 そう答えると、先生は泣きそうな顔で笑った。

 あの日。

 ここで、全部終わったと思った。

 結婚まで考えていた人に捨てられて、

 惨めで、苦しくて、

 もう二度と恋なんてできないかもしれないと思った。

 ――でも。

 あの日、私を見つけてくれた先生。

 傷ついて、泣いていた私を救い出してくれた。

 忘れてしまっていた私を、

 それでもずっと、好きでいてくれた。

 胸が、いっぱいになる。

 「……瑞貴さん」

 名前を呼ぶだけで、また涙が滲んだ。

 先生が優しく頬に触れる。

 その手が、あたたかい。

 この人を幸せにしたい。

 今の私は、苦しいくらい、この人が好きだ。

 「ずっと好きでいてくれて、ありがとうございます」

 笑いながらそう言うと、

 小さく息を漏らした瑞貴さんが、そのまま私に唇を重ねた。

 返事をするような甘いキスに、私は静かに目を閉じた。