彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 「無理」

 「無理って……」

 「俺の視線を独占するひよりが悪い」

 さらっと言われて、顔が熱くなる。

 「……先生って、本当に甘いですね」

 「そうかな」

 くすっと笑う顔に、胸がまたきゅっと鳴った。

 食事を終えたあと、先生が少しだけ真剣な顔になる。

 「部屋、とってあるんだ」

 その一言で、心臓が大きく跳ねた。

 どこかでわかっていた。

 ここに来た時点で、きっとそうなんだって。

 それでも、言葉にされると身体の奥が熱くなる。

 「……はい」

 小さく答えると、先生がそっと私の手を握る。

 「怖かったら、ちゃんと言って」

 その声があまりにも優しくて、喉の辺りが甘く痺れた。

 「怖くないです」

 私はちゃんと先生を見て答えた。

 「先生だから」

 その瞬間、先生の喉が小さく動いた。

 エレベーターの中では、ほとんど言葉を交わさなかった。

 ただ、繋いだ手だけが離れない。

 部屋の前に着き、カードキーで扉が開く。

 中へ入った瞬間、強く抱きしめられた。

 「っ……先生?」

 「今日、ずっとこうしたかった」

 耳元に落ちる低い声。

 「もう、誰にも渡したくない」

 腕に込められる力に、胸が強く鳴る。

 「ひより」

 呼ばれるだけで、身体の奥が熱を持つ。

 ゆっくりと腕が緩み、顔を上げる。

 熱を孕んだ瞳に、息が止まりそうになった。