「思ってたよりきついな」
低い声。
「……彼は、俺の知らないひよりを知ってるんだよね」
胸が静かに締めつけられる。
「隣にいて、一緒に笑って……触れて」
そこまで言ってから、先生は小さく息を漏らした。
「ごめん。自分でも、だいぶダサいと思う」
私は立ち止まった。
先生も少し遅れて足を止める。
「先生」
呼ぶと、先生がゆっくりこちらを見る。
その目が、少しだけ不安そうで。
胸の奥が、きゅうと疼いた。
「私、先生のおかげで前に進めました」
ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「あの日、先生がいてくれたから……今、こうして笑えてます」
先生の瞳がわずかに揺れる。
「過去を思い出せない自分が、ずっと苦しかったです」
ぽつりと零す。
「先生を忘れて、違う恋をしていたことも……ちゃんと向き合うことが怖かった」
言葉にするたび、胸の奥が静かに痛む。
それでも、ちゃんと伝えたかった。
「でも」


