彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 深く頭を下げる。

 少しだけ、風が強く吹いた。

 その風が、胸の中にあった迷いをさらっていくような気がした。

 看護師として、たくさんの患者さんと向き合ってきた。

 病気や障害を、すぐに受け入れられる人なんていない。

 それでも、葛藤しながら、悩みながら。

 それぞれが、自分の人生を選んでいく姿を、すぐそばで見てきた。

 その隣に、ほんの少しだけ寄り添うこと。

 それが、自分の役割だと思っている。

 ――だから。

 今度は、私も。

 自分の気持ちから目を逸らさずに、

 ちゃんと向き合って、選びたいと思った。

 たぶん、あれこれ考え出すとキリがないけれど。

 胸の真ん中にある答えは、いつもシンプルなんだ。

 私は――

 今度は、私が。

 瀬名先生を、幸せにしたい。