彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 昼休み。

 なんとなく足が向いたのは、中庭だった。

 ――もしかしたら。

 そんな期待を、どこかでしていたのかもしれない。

 扉を開けると、やわらかい風が頬を撫でる。

 ベンチの方に目をやると、

 「あら、吉岡さん」

 聞き慣れた声に、思わず顔がほころんだ。

 「梅木さん」

 やっぱり、いた。

 「ちょうどいいところに来たわね」

 くすっと笑いながら、手招きされる。

 「隣、いいですか?」

 「もちろん」

 並んで腰を下ろすと、梅木さんがじっとこちらを見た。

 そして――

 「吉岡さん、聞いたわよ」

 にやりと意味深に笑う。

 「えっ……?」

 「うまくいったみたいね」

 一瞬で顔が熱くなる。

 「な、なんで……」

 「顔に書いてあるんだもの。あなたも、瀬名先生も」

 楽しそうに笑われて、何も言えなくなる。

 「でも、よかったじゃない」

 ふっと、少しだけ優しい声になる。

 その一言に、胸の奥がじんわりと温かくなる。

 「……はい」

 小さく頷く。