彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 そう思った瞬間、何も言われないまま、すっと胸元に手が伸びる。

 「え……」

 指先が触れて、軽く引き寄せられる。

 一瞬、何が起きたのかわからなくて息が止まる。

 そのまま、名札が外された。

 「これ」

 何事もなかったかのように掲げられる名札。

 「え、瀬名先生?どうしたんですか?」

 近くの看護師たちがざわつき始める。

 「落ちてたから、届けに来た」

 さらっと言われた一言に、言葉を失う。

 ――絶対、落ちてない。

 たった今まで、私の胸ポケットに付いていたから。

 そう思うのに、周りの視線もあって、反論はできない。

 隣にいるしげぴーの視線も痛い。

 たぶん、全部見えている。