「私……その、前に付き合ってたときは、なんて、呼んでましたか?」
自分から過去に触れてみようと思った。
純粋に、なんて呼んでいたのか気になった。
「なんて呼んでたと思う?」
「えぇ……っと、瀬名……先輩……?」
小さく、そう呼んだ瞬間。
空気が変わった。
先生の目が、わずかに細くなる。
ゴクっと先生の喉が動いた。
次の瞬間、引き寄せられて、唇が重なる。
さっきよりも、少しだけ深いキス。
息が混ざる距離で、ようやく離れる。
「……それ、反則」
額を軽く合わせながら、くすっと笑う。
「……合ってましたか?」
「うん」
そう言って、もう一度抱き寄せられる。
「……ひより」
優しく名前を呼ばれて、胸がきゅっとなる。
「今日は、ずっと一緒にいられるよね?」
少しだけ甘えた声。
一瞬、驚いてから、思わず笑ってしまう。
「……はい」
そう答えると、
「やった」
安心したように、さらにぎゅっと抱きしめられた。


