彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 「可愛い。好き、大好き」

 耳元に響く声に、身体がきゅんと疼く。

 「先生は……甘いですね。心臓がもちません」

 「ん?そう?……というか、今は先生じゃないでしょ」

 そう言って、顔が見える位置に少しだけ離れる。

 じっと見つめられて、呼吸が浅くなる。

 「名前、呼んでよ」

 「え……」

 一瞬、言葉に詰まる。

 名前で呼ぶなんて、そんなの――

 心臓が、またうるさくなった。

 「ほら」

 少しだけ低くなった声。

 逃げ場なんて、最初からなかった。

 「……せ、瀬名……先生……」

 ぎこちなく口にした瞬間、

 「違うでしょ」

 すぐに遮られる。