結婚式──
「姫、おめでとな!」
「姫様、お綺麗ですよ」
結婚式には、殺夜と涙悪も来てくれた。
もちろん、涙悪の妹の雲母も。
「なんか・・・寂しいな。いい大人なんやから喧嘩なんてもう辞めるべきだって分かってんねんけど・・・まだ喰乃に引き渡すのも不安やしなぁ・・・姫とのつながりが消えるのが一番怖いんやろーな」
「えぇ・・・寂しいです、姫様はもう結婚するんですね・・・俺は結婚する気はないですが、姫様となら・・・」
2人とも寂しげに瞳を揺らしている。
「会いに行くし、会いに来ていいよ。や、来てほしい」
「っ姫・・・!絶対行くでな!」
「姫様・・・!離婚届は持っていますか?!持ってきましょうか?!準備しておいたんです!」
・・・涙悪、どーゆーコトだ。
離婚届って・・・まだ結婚式なのに。
「私は皐月家を支える役割なだけ。個人の感情なんて消すんだよ」
「・・・姫様らしいですね・・・わかりました、一応納得はします」
「ありがと。そろそろだから。・・・お金持ちの結婚式なだけあって豪華だからご飯も楽しんで」
「おー!んじゃ、行くか、涙悪!」
「相変わらずスーツが似合わないですね・・・」
2人は最後まで喧嘩をしながら控室を出て行った。
「雲母も、来てくれてありがと。家行ってもよかったら会いに行くから。公邸来てもいいけど」
「いや、来てほしい・・・!ちょっと恐れ多いから・・・!じゃ、私も行くね!」
雲母も控室を出て、まっすぐ前を向く。

少しして、ギィ、と大きな扉が開いた。