雲母に見送られ、迎えに来た運転結さんと車に乗って家に帰る。
皐月邸を家と言えるくらいには私も慣れてきたんだろう。
持っている合鍵で玄関のかぎを開け、中に入る。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「・・・ん、お迎えご苦労様、螺翔」
私の専属執事をする螺翔が迎えてカバンを持ってくれ、手を洗ってから部屋に行く。
「お鞄の中のものはメイドに確認させて洗濯が必要なものは洗濯いたします。お鞄はこちらで保管しますので、貴重品は・・・」
「こっちのバッグに入ってるから大丈夫」
「左様でござますか。ではお預かりいたしますね」
螺翔が離れていき、部屋の前につながる階段を上ると。
「・・・えっと」
「おかえり雫宮!」
部屋のドアの前に零兄が待ち構えていた。
「帰ってきたところ悪いんだけど・・・ちょっと話したいコトがあってね」
「話したいコト・・・?ん、わかった。バッグだけ置いてくる」
「着替えはイイ?」
「ん」
短く返事をして部屋の前を退いてもらい、鞄だけ棚にしまう。
「零兄?話って・・・」
「リビングで話そ?」
手を引かれて階段を下がり、リビングの扉を開けて私のモノと化しているお気に入りの1人掛けソファーに腰掛ける。
「雫宮?おかえり、どうしたの?」
そこには毬兄に朔兄、皇兄、鈴兄も揃っていて零兄に連れられてリビングに来た私の驚いてる。
「雫宮、これは僕の個人的な話なんだけど、決意の表明というか・・・兄全員に聞いてほしくて」
零兄の濁したような言葉に、嫌な予感がしたかのように顔を顰める義兄×4。
「僕、雫宮のコトが好き。もちろん、恋愛感情でね。伊毬に先越されたって聞いて焦ったけど・・・。僕、雫宮が女友達の家に泊まりに行ってるのたった1日だったのにすごく苦しくて・・・雫宮がいないと、過ごしていけないって気づいて・・・だから、僕は雫宮が好き。当主に座はいらないけど雫宮の隣に立つ男の座は欲しい・・・雫宮の隣以外、なにもいらないから・・・僕を選んでほしい」
いつも可愛い小悪魔な笑顔を浮かべている零兄の真剣な表情に少したじろぐ。
「えっと・・・」
「僕は、当主にふさわしくない。雫宮がやっぱり当主だ。それでいいから・・・僕じゃダメ?」
「葦零・・・抜け駆け禁止。俺だって・・・雫宮のコト好き。初めて人を好きになったのも・・・、雫宮のコト、ずっと好きだったんだ。・・・や、好きじゃないな。ホントに・・・愛してるの」
うぇ・・・どうなってる・・・?
「なんでみんな我慢できないの?・・・雫宮、雫宮を想う気持ちはだれにも負けない自信はあるよ。雫宮のコトが・・・どんな時も、
頭から離れないんだ。情報網とかじゃなくて、本気で大好きなんだ」
「3人とも・・・あの、私はお義父さんの期待に応えたくて・・・愛とか恋とかよりも、誰が当主の結婚相手にふさわしいかで相手は決めるつもり。この中に居なかったら・・・お義父さんに許可を貰える人の範囲で、探したい」
私は皐月家の人間の血は流れていないけど・・・私を実父から守ってくれた皐月家のためになるコトをしたいと考えている。
きっとそうでないと後悔するから・・・自己満足なんだけど。
「そうだね、雫宮」
そこに現れたのはお義父さん。
「父さん・・・」
鈴兄は恨むような瞳をお義父さんに向ける。
「息子も義娘も大事だが・・・先祖代々受け継いできた結婚の話も重要でね。雫宮の判断は正しいと言えるよ。ごめんね、みんな。雫宮も、つらい判断をさせて」
「いえ・・・私は構いません」
義兄の気持ちに自分の気持ちで応えないのは失礼だけど・・・しょうがないってコト、分かってほしい。
「まぁまぁ、それが普通なんだよ。僕が断られた理由も、僕は諦めてないけど納得してる。みんなも雫宮にふさわしくなれるように努力しながら、諦めなければいいんだよ。僕は雫宮のファーストキス奪えたしね」
毬兄がみんなをなだめた・・・かと思えば最後に自慢のように付け足す。
「はっ・・・?伊毬、雫宮のファーストキス奪ったって・・・」
「ふふ・・・学校のムードないところで告白してね、そこでキスも奪っちゃった」
逆に感心したように毬兄を見つめる義兄。
「さすが長男」と称賛を送るお義父さん。
「雫宮・・・嫌だった、でしょう・・・?可哀想に・・・」
「ちょっと朔冴、勝手に嫌って決めつけないで」
「伊毬だったら好きでもない女にいきなり告白とキスされたら嫌でしょ」
鈴兄の言葉に毬兄がこっくりと頷き、「嫌だね」と当たり前かのように答える。
「とっ、とりあえず・・・この話は保留、ふさわしいと思った人がいたら私から付き合いを申し込む。もちろん公にしなかったら愛人とか作ってもいいし、そもそも断ってもいい」
「「「「「断らない」」」」」
「うん、断らないね」
義兄×5に加えてお義父さんも即答し、みんなも家のコトを考えてるんだと思う。
「雫宮の心を振り向かせればいいってコトかな?」
「葦零、バカなコト言ってたら候補から外れるよ」
ソファーから立ち、リビングを出て考える。
ふさわしいのは皇兄、だと思う。
成績も素行も人間関係も教師からの評価(授業態度)も問題なし。
ただ問題があるとすれば、皇兄ひとりが私に告白していないコト。
自惚れとか義兄はみんな私のコト好きなんだから、とか思ってるわけじゃない。
告白してきた4人だったら承諾してくれるだろうけど・・・皇兄はわからない。
家のコトを考えるとOKしてくれるだろう。
じゃあ、皇兄の気持ちは?
同い年とか同じ高等部の女子が好きかもしれない。
もう彼女もいるかもしれない。
お年頃(笑)だしね・・・。
皐月邸を家と言えるくらいには私も慣れてきたんだろう。
持っている合鍵で玄関のかぎを開け、中に入る。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「・・・ん、お迎えご苦労様、螺翔」
私の専属執事をする螺翔が迎えてカバンを持ってくれ、手を洗ってから部屋に行く。
「お鞄の中のものはメイドに確認させて洗濯が必要なものは洗濯いたします。お鞄はこちらで保管しますので、貴重品は・・・」
「こっちのバッグに入ってるから大丈夫」
「左様でござますか。ではお預かりいたしますね」
螺翔が離れていき、部屋の前につながる階段を上ると。
「・・・えっと」
「おかえり雫宮!」
部屋のドアの前に零兄が待ち構えていた。
「帰ってきたところ悪いんだけど・・・ちょっと話したいコトがあってね」
「話したいコト・・・?ん、わかった。バッグだけ置いてくる」
「着替えはイイ?」
「ん」
短く返事をして部屋の前を退いてもらい、鞄だけ棚にしまう。
「零兄?話って・・・」
「リビングで話そ?」
手を引かれて階段を下がり、リビングの扉を開けて私のモノと化しているお気に入りの1人掛けソファーに腰掛ける。
「雫宮?おかえり、どうしたの?」
そこには毬兄に朔兄、皇兄、鈴兄も揃っていて零兄に連れられてリビングに来た私の驚いてる。
「雫宮、これは僕の個人的な話なんだけど、決意の表明というか・・・兄全員に聞いてほしくて」
零兄の濁したような言葉に、嫌な予感がしたかのように顔を顰める義兄×4。
「僕、雫宮のコトが好き。もちろん、恋愛感情でね。伊毬に先越されたって聞いて焦ったけど・・・。僕、雫宮が女友達の家に泊まりに行ってるのたった1日だったのにすごく苦しくて・・・雫宮がいないと、過ごしていけないって気づいて・・・だから、僕は雫宮が好き。当主に座はいらないけど雫宮の隣に立つ男の座は欲しい・・・雫宮の隣以外、なにもいらないから・・・僕を選んでほしい」
いつも可愛い小悪魔な笑顔を浮かべている零兄の真剣な表情に少したじろぐ。
「えっと・・・」
「僕は、当主にふさわしくない。雫宮がやっぱり当主だ。それでいいから・・・僕じゃダメ?」
「葦零・・・抜け駆け禁止。俺だって・・・雫宮のコト好き。初めて人を好きになったのも・・・、雫宮のコト、ずっと好きだったんだ。・・・や、好きじゃないな。ホントに・・・愛してるの」
うぇ・・・どうなってる・・・?
「なんでみんな我慢できないの?・・・雫宮、雫宮を想う気持ちはだれにも負けない自信はあるよ。雫宮のコトが・・・どんな時も、
頭から離れないんだ。情報網とかじゃなくて、本気で大好きなんだ」
「3人とも・・・あの、私はお義父さんの期待に応えたくて・・・愛とか恋とかよりも、誰が当主の結婚相手にふさわしいかで相手は決めるつもり。この中に居なかったら・・・お義父さんに許可を貰える人の範囲で、探したい」
私は皐月家の人間の血は流れていないけど・・・私を実父から守ってくれた皐月家のためになるコトをしたいと考えている。
きっとそうでないと後悔するから・・・自己満足なんだけど。
「そうだね、雫宮」
そこに現れたのはお義父さん。
「父さん・・・」
鈴兄は恨むような瞳をお義父さんに向ける。
「息子も義娘も大事だが・・・先祖代々受け継いできた結婚の話も重要でね。雫宮の判断は正しいと言えるよ。ごめんね、みんな。雫宮も、つらい判断をさせて」
「いえ・・・私は構いません」
義兄の気持ちに自分の気持ちで応えないのは失礼だけど・・・しょうがないってコト、分かってほしい。
「まぁまぁ、それが普通なんだよ。僕が断られた理由も、僕は諦めてないけど納得してる。みんなも雫宮にふさわしくなれるように努力しながら、諦めなければいいんだよ。僕は雫宮のファーストキス奪えたしね」
毬兄がみんなをなだめた・・・かと思えば最後に自慢のように付け足す。
「はっ・・・?伊毬、雫宮のファーストキス奪ったって・・・」
「ふふ・・・学校のムードないところで告白してね、そこでキスも奪っちゃった」
逆に感心したように毬兄を見つめる義兄。
「さすが長男」と称賛を送るお義父さん。
「雫宮・・・嫌だった、でしょう・・・?可哀想に・・・」
「ちょっと朔冴、勝手に嫌って決めつけないで」
「伊毬だったら好きでもない女にいきなり告白とキスされたら嫌でしょ」
鈴兄の言葉に毬兄がこっくりと頷き、「嫌だね」と当たり前かのように答える。
「とっ、とりあえず・・・この話は保留、ふさわしいと思った人がいたら私から付き合いを申し込む。もちろん公にしなかったら愛人とか作ってもいいし、そもそも断ってもいい」
「「「「「断らない」」」」」
「うん、断らないね」
義兄×5に加えてお義父さんも即答し、みんなも家のコトを考えてるんだと思う。
「雫宮の心を振り向かせればいいってコトかな?」
「葦零、バカなコト言ってたら候補から外れるよ」
ソファーから立ち、リビングを出て考える。
ふさわしいのは皇兄、だと思う。
成績も素行も人間関係も教師からの評価(授業態度)も問題なし。
ただ問題があるとすれば、皇兄ひとりが私に告白していないコト。
自惚れとか義兄はみんな私のコト好きなんだから、とか思ってるわけじゃない。
告白してきた4人だったら承諾してくれるだろうけど・・・皇兄はわからない。
家のコトを考えるとOKしてくれるだろう。
じゃあ、皇兄の気持ちは?
同い年とか同じ高等部の女子が好きかもしれない。
もう彼女もいるかもしれない。
お年頃(笑)だしね・・・。



