「・・・いつから出会い話になった?」
「いえ、これが理由ですよ。すべては俺が姫様に魅了されたからです。これ以外に理由はありません」
「だったらそれを簡潔に言えばよかったのに」
途中、なにを表現したかったのか私を引き寄せたり、しゃがんで腕を私のほうに広げてババーンッてしたり捨てたけど羞恥心捨てたのか。
「お兄ちゃん・・・家には戻ってこないで!」
「・・・雲母?」
黙っていた雲母が急に大きな声を出し、少し驚いて雲母を見つめる。
「私の雫宮を取ろうとするなんて!」
「・・・ほう、いい度胸ですね。俺は姫様にいつも笑いかけてもらえます」
「ふんっ、私は雫宮に抱きしめられたこともあるんだから!今日は一緒に寝る予定だしね!」
「俺だって姫様寝たことくらいありますよ!狭かったので体を密着させましたが、このベッドは大きいので離れて寝るのがいいですね」
「くぅぅぅ・・・!」
・・・兄妹だな、この2人。
「近所迷惑になるよ」
そう声をかけるも、聞こえないのか、言い合いを続ける2人。
「琉宛、雲母・・・」
「っ姫様!俺の名前を知っているんですね!」
「ふふ、私は雫宮の本名を知らず姫様姫様なストーカーモドキの奴とは違うのよ!」
・・・私、お兄ちゃんとそんな言い合いしたコトない・・・。
私がなにかを報告すれば、褒めてくれたり、一緒に悲しんでくれたり、泣かしてくれたり。
「まぁいいですよ、俺は家には帰りません。お前とも会うコトがないのでお互いいいコト尽くしですね」
嫌味っぽく涙悪が言い、雲母もニッコリ笑った。
「今は一緒にいれてるだけ。いつかはあんたも捨てられんのよ!」
「それはお前ですね。俺がどれだけ姫様といたと思っているのか」
呆れたように雲母を見下ろし、ハッと鼻で笑った涙悪の袖を引いて窘め、雲母にも一回静かにしてもらってから再び涙悪を見る。
「妹とはいえ女の子の部屋に返事待ち無しどころかノック無しで入ってきたらだめ。雲母が着替えてたらどーすんの」
「妹の着替えなんぞ興味ありませんよ、まぁ・・・姫様のなら・・・っ」
変態発言をした涙悪の背中に蹴りをいれ、身長では勝てないので下から首を回して威圧感たっぷりに見上げる。
「私はどんなときもプライベートな扉はノックしてから入る。・・返事はともかくそこは弁えてるし」
姫様も私と同類では?と言わんばかりにキョトンとする涙悪にそう返しておく。
それくらいの礼儀は当たり前だし・・・って涙悪、私に蹴られて悦びすぎ。
雲母もそんな実兄の姿にドン引きしてるし。
「姫様、今夜は・・・」
ちょ、バカ。
雲母の前で言うんじゃない。
「・・・抜け出せたらいく。無理な可能性もある」
残念そうな涙悪にそっと耳打ちし、体を離す。
「さ、出てって。家はともかく雲母の部屋から」
「ん・・・はい、わかりました」
夜に期待します、と涙悪が名残惜しげに私をチラッと見て部屋を出て行く。
少しして玄関の鍵を閉める音が聞こえたため、家も出たんだろう。
「・・・そういえば、雲母、お父さんは?」
お母さんは亡くなってるって聞いたから、お父さんはいるってコトだよね?
「あ・・・お母さんが亡くなってから私が中卒のお兄ちゃんみたいにならないようにね。いい大学行っていい仕事に就かせたいってその分のお金を稼ぐのに必死になってるんだ。愛されてるのは自覚してるし、お兄ちゃんみたいになる気もないんだけど・・・家計もギリギリなのに、頑張ってくれるお父さんが誇らしくてよく友達に自慢したり・・・」
最後はホントに嬉しそうに話す雲母に安心する。
雲母は・・・私のお父さんとは違うようだ。
私のお父さんじゃなくて・・・義兄の、私の、お義父さんみたいな人だ。
愛情故に帰れず、・・・まぁ、雲母はお父さんのコト嫌いになってなさそうだから大丈夫そうだけど。
「そっか、お父さんが大好きならいいと思う」
「雫宮・・・ありがと。・・・さっ、今日は楽しも!お菓子もジュースも開けて・・・パジャマパーティする?オールしちゃう?」
「肌に良くないし成長ホルモンも出なくなっちゃうよ?まだ少しは身長伸びるかも・・・」
「そっかぁ・・・じゃあ仕方がないね。ジュースとお菓子は8時くらいまでにして、それから9時まではお話しよ!」
「それがいいね」
その後、お話というか私は一方的に雲母に質問され。
満足したのか雲母が眠りについて少ししてから家を出た。
もちろん、鍵は持ってないので二階の窓から飛び降りたけど。
いつもよりも少し遅くなって、事情を知らなかった殺夜に酷く心配されたり涙悪が殺夜に「俺は姫様に本名で呼んでもらえたのですよ」と自慢したり。
色々ややこしくなったりはしたものの、雲母とのお泊り会も、夜の活動も変わらず楽しむことができた。
「いえ、これが理由ですよ。すべては俺が姫様に魅了されたからです。これ以外に理由はありません」
「だったらそれを簡潔に言えばよかったのに」
途中、なにを表現したかったのか私を引き寄せたり、しゃがんで腕を私のほうに広げてババーンッてしたり捨てたけど羞恥心捨てたのか。
「お兄ちゃん・・・家には戻ってこないで!」
「・・・雲母?」
黙っていた雲母が急に大きな声を出し、少し驚いて雲母を見つめる。
「私の雫宮を取ろうとするなんて!」
「・・・ほう、いい度胸ですね。俺は姫様にいつも笑いかけてもらえます」
「ふんっ、私は雫宮に抱きしめられたこともあるんだから!今日は一緒に寝る予定だしね!」
「俺だって姫様寝たことくらいありますよ!狭かったので体を密着させましたが、このベッドは大きいので離れて寝るのがいいですね」
「くぅぅぅ・・・!」
・・・兄妹だな、この2人。
「近所迷惑になるよ」
そう声をかけるも、聞こえないのか、言い合いを続ける2人。
「琉宛、雲母・・・」
「っ姫様!俺の名前を知っているんですね!」
「ふふ、私は雫宮の本名を知らず姫様姫様なストーカーモドキの奴とは違うのよ!」
・・・私、お兄ちゃんとそんな言い合いしたコトない・・・。
私がなにかを報告すれば、褒めてくれたり、一緒に悲しんでくれたり、泣かしてくれたり。
「まぁいいですよ、俺は家には帰りません。お前とも会うコトがないのでお互いいいコト尽くしですね」
嫌味っぽく涙悪が言い、雲母もニッコリ笑った。
「今は一緒にいれてるだけ。いつかはあんたも捨てられんのよ!」
「それはお前ですね。俺がどれだけ姫様といたと思っているのか」
呆れたように雲母を見下ろし、ハッと鼻で笑った涙悪の袖を引いて窘め、雲母にも一回静かにしてもらってから再び涙悪を見る。
「妹とはいえ女の子の部屋に返事待ち無しどころかノック無しで入ってきたらだめ。雲母が着替えてたらどーすんの」
「妹の着替えなんぞ興味ありませんよ、まぁ・・・姫様のなら・・・っ」
変態発言をした涙悪の背中に蹴りをいれ、身長では勝てないので下から首を回して威圧感たっぷりに見上げる。
「私はどんなときもプライベートな扉はノックしてから入る。・・返事はともかくそこは弁えてるし」
姫様も私と同類では?と言わんばかりにキョトンとする涙悪にそう返しておく。
それくらいの礼儀は当たり前だし・・・って涙悪、私に蹴られて悦びすぎ。
雲母もそんな実兄の姿にドン引きしてるし。
「姫様、今夜は・・・」
ちょ、バカ。
雲母の前で言うんじゃない。
「・・・抜け出せたらいく。無理な可能性もある」
残念そうな涙悪にそっと耳打ちし、体を離す。
「さ、出てって。家はともかく雲母の部屋から」
「ん・・・はい、わかりました」
夜に期待します、と涙悪が名残惜しげに私をチラッと見て部屋を出て行く。
少しして玄関の鍵を閉める音が聞こえたため、家も出たんだろう。
「・・・そういえば、雲母、お父さんは?」
お母さんは亡くなってるって聞いたから、お父さんはいるってコトだよね?
「あ・・・お母さんが亡くなってから私が中卒のお兄ちゃんみたいにならないようにね。いい大学行っていい仕事に就かせたいってその分のお金を稼ぐのに必死になってるんだ。愛されてるのは自覚してるし、お兄ちゃんみたいになる気もないんだけど・・・家計もギリギリなのに、頑張ってくれるお父さんが誇らしくてよく友達に自慢したり・・・」
最後はホントに嬉しそうに話す雲母に安心する。
雲母は・・・私のお父さんとは違うようだ。
私のお父さんじゃなくて・・・義兄の、私の、お義父さんみたいな人だ。
愛情故に帰れず、・・・まぁ、雲母はお父さんのコト嫌いになってなさそうだから大丈夫そうだけど。
「そっか、お父さんが大好きならいいと思う」
「雫宮・・・ありがと。・・・さっ、今日は楽しも!お菓子もジュースも開けて・・・パジャマパーティする?オールしちゃう?」
「肌に良くないし成長ホルモンも出なくなっちゃうよ?まだ少しは身長伸びるかも・・・」
「そっかぁ・・・じゃあ仕方がないね。ジュースとお菓子は8時くらいまでにして、それから9時まではお話しよ!」
「それがいいね」
その後、お話というか私は一方的に雲母に質問され。
満足したのか雲母が眠りについて少ししてから家を出た。
もちろん、鍵は持ってないので二階の窓から飛び降りたけど。
いつもよりも少し遅くなって、事情を知らなかった殺夜に酷く心配されたり涙悪が殺夜に「俺は姫様に本名で呼んでもらえたのですよ」と自慢したり。
色々ややこしくなったりはしたものの、雲母とのお泊り会も、夜の活動も変わらず楽しむことができた。



