「わかった?」
スマホを仕舞い、こちらを振り返る雫宮。
「こんな歌、あったんだね。誰が歌ってるの?」
「・・・『ふぃー』っていうシンガーソングライター」
「『ふぃー』かぁ。可愛い名前だね」
雫宮ほどじゃないけど、という言葉を飲み込んで笑顔を作る。
「『裏切られる痛みを知ってるから』って、よくわかるなって。せっかくいい人だと思ったのに裏切られて、・・・人間ってそんなものだよねって思ってた時に兄ちゃんが亡くなった、から」
悲しげに目を伏せる雫宮。
しーん、と沈黙が流れる。
その静寂を断ち切って口を開いたのは鈴蘭だった。
「俺にも合う曲あるかな」
「・・・鈴兄に合う曲なら、ある」
「・・・あるの?」
「この曲。『lonely star』っていう曲。意味は『孤独の星』」
      
『星の光眩しくて
僕の心は影を作る
僕の中にあるのは孤独

重圧に押しつぶされて
息をするのも苦しくなる
     
毎日のプレッシャーに耐えながら
何度も心が折れそうになる
だけど自分を信じていく道
誰にも見せない強さ抱いて
  
冷たい世界でたった独り
でも、僕は進む
期待に応えるためじゃない
自分のために
    
夜が明けるその時まで
自分を探し続ける
   
いつか見つける、自分の光
その日まで、この唄を歌う』