「・・・雫宮」
朝食を終えたとき、朔兄が手招きをしてきた。
「・・・ん」
そのまま朔兄に近づくと。
「・・・雫宮、俺の」
ソファーに座る朔兄に腕を引かれ、抱きしめられた。
ソファーに脚を乗せた小さくなる朔兄。
そんな朔兄に抱きしめられる私。
怒られた子供がぬいぐるみを抱きしめているみたいな光景だ。
「・・・ん」
肩口に顔がうずめられ、首筋に舌が這う。
「・・・朔兄?」
動きが昨夜の鈴兄みたいだ。
「甘い・・・」
そう呟きながら朔兄は頭を動かす。
サラサラの髪が顔に当たってくすぐったい。
「首がこんなに甘いなら・・・唇はもっと甘い、よね・・・?」
唇?
思わず首をかしげると、それを真似して朔兄も首を傾げた。
デジャヴだ、さっきのは皇兄だったけど。
「・・・いい?」
「・・・いい、とは」
なにがだろう、と考える。
私は人よりも理解能力が高いから大体のコトは理解できるんだけど・・・。
朔兄が体をグッと倒して顔を近づけてくる。
ゆっくりと避けると、近づいてきた唇は私の頬に当たった。
ちゅ、と音を立てて唇が離れる。
体を起こした朔兄の顔をじっと見つめていると、その顔がこちらを向く。
そして、目が合った瞬間、私は息をのんだ。
「・・・朔、兄・・・?」
「・・・雫宮は・・・」
その顔はすごく、泣きそうで。
「雫宮は、俺にくれないの」
クシャッと顔をゆがめていて。
「俺より、夜の奴らのほうがいいの」
痛々しくて。
「・・・なんで、なの」
必死んに縋るように私を見つめていた。
幸か不幸か、義兄たちはだれ一人ココにいない。
そして、私は朔兄が代わってしまったコトを感じた。
「俺だったら・・・」
苦痛に歪んでいた朔兄の顔はもうない。
「雫宮のコト、満足させてあげられる」
口角は不格好に上がっていて。
グレーの瞳は怒りと自嘲を宿していて。
纏う雰囲気は、儚いものから冷たいものへと変化していた。
私は・・・この朔兄が、好きじゃない。
自分の好き嫌いで行動するのはどうかと思うけど。
「・・・ごめんなさい」
「ん?」
「私は、今の朔兄を好きになれない」
そう謝った後に、私は朔兄の首の側面を打った。
「・・・っ」
朔兄はしまった、と言わんばかりの顔でソファーに倒れ込む。
「・・・ちゃんと、運ぶから」
昨夜の鈴兄と同じように横抱きにし、朔兄を部屋のベッドに運ぶ。
「怒らない、ね」
そっと髪をひと撫でして、私は部屋を出た。
デジャヴだなぁ・・・(本日2回目)と思いながらも、リビングに戻る。
朝食を終えたとき、朔兄が手招きをしてきた。
「・・・ん」
そのまま朔兄に近づくと。
「・・・雫宮、俺の」
ソファーに座る朔兄に腕を引かれ、抱きしめられた。
ソファーに脚を乗せた小さくなる朔兄。
そんな朔兄に抱きしめられる私。
怒られた子供がぬいぐるみを抱きしめているみたいな光景だ。
「・・・ん」
肩口に顔がうずめられ、首筋に舌が這う。
「・・・朔兄?」
動きが昨夜の鈴兄みたいだ。
「甘い・・・」
そう呟きながら朔兄は頭を動かす。
サラサラの髪が顔に当たってくすぐったい。
「首がこんなに甘いなら・・・唇はもっと甘い、よね・・・?」
唇?
思わず首をかしげると、それを真似して朔兄も首を傾げた。
デジャヴだ、さっきのは皇兄だったけど。
「・・・いい?」
「・・・いい、とは」
なにがだろう、と考える。
私は人よりも理解能力が高いから大体のコトは理解できるんだけど・・・。
朔兄が体をグッと倒して顔を近づけてくる。
ゆっくりと避けると、近づいてきた唇は私の頬に当たった。
ちゅ、と音を立てて唇が離れる。
体を起こした朔兄の顔をじっと見つめていると、その顔がこちらを向く。
そして、目が合った瞬間、私は息をのんだ。
「・・・朔、兄・・・?」
「・・・雫宮は・・・」
その顔はすごく、泣きそうで。
「雫宮は、俺にくれないの」
クシャッと顔をゆがめていて。
「俺より、夜の奴らのほうがいいの」
痛々しくて。
「・・・なんで、なの」
必死んに縋るように私を見つめていた。
幸か不幸か、義兄たちはだれ一人ココにいない。
そして、私は朔兄が代わってしまったコトを感じた。
「俺だったら・・・」
苦痛に歪んでいた朔兄の顔はもうない。
「雫宮のコト、満足させてあげられる」
口角は不格好に上がっていて。
グレーの瞳は怒りと自嘲を宿していて。
纏う雰囲気は、儚いものから冷たいものへと変化していた。
私は・・・この朔兄が、好きじゃない。
自分の好き嫌いで行動するのはどうかと思うけど。
「・・・ごめんなさい」
「ん?」
「私は、今の朔兄を好きになれない」
そう謝った後に、私は朔兄の首の側面を打った。
「・・・っ」
朔兄はしまった、と言わんばかりの顔でソファーに倒れ込む。
「・・・ちゃんと、運ぶから」
昨夜の鈴兄と同じように横抱きにし、朔兄を部屋のベッドに運ぶ。
「怒らない、ね」
そっと髪をひと撫でして、私は部屋を出た。
デジャヴだなぁ・・・(本日2回目)と思いながらも、リビングに戻る。



