「ここは」
「道場。祖父が剣道好きでさ」
連れてこられたのは学校にあるような道場。
「ここでやろう」
「・・・ん」
服を整え、枠の中に入る。
「じゃぁ行くよ」
タイマーを操作し、鈴兄はゆっくりと動き始めた。
そして私から動き出そうとしないコトを悟ったのか、ニッコリ笑った。
その瞬間、床が蹴られてキョリが縮まる。
そんな鈴兄に対し私は常に半歩しか動かず、攻撃を躱しながらその体を持ち上げた。
「・・・え?」
軽々と私に持ち上げられた鈴兄は驚きを隠そうとしない。
そのまま私は鈴兄を鈴兄を上に投げて、落ちてきたタイミングで腕を後ろに拘束した。
「・・・さて、今から5秒あげるから逃げて。ただし、私は戦い経験ありだから拘束するのも片手だけ」
5秒、声に出して数える。
腕を引っ張ったりひねったりしている鈴兄だけど、拘束から逃げ出すコトはできなかった。
「いち、ぜろ」
カウントダウンを終え、私はパッと腕を離した。
突然のコトによろめく鈴兄だけど、なんとか体勢を保ったらしい。
「負けたな・・・じゃあもう一回俺の部屋来て?雫宮のコトは訊いていいでしょ?」
リビングで話すという選択肢はないのかと考える。
でも、なにかあっても私のほうが強いし、大丈夫か。
そう思って、鈴兄の自室にもう一回行ったんだけど。
・・・これってどーゆー状況?