見つめ合うこと十数秒。 「……………いる?」 沈黙に耐えられなくなった私は、残りひと口になったバニラアイスをスプーンに乗せて差し出した。 長屋くんは、数秒アイスを見つめたあと、パクッと口に入れた。 「あっま」 顔をしかめた長屋くんに、食べたかったんでしょと言うと、またうなだれた。 「あ゛ー、手強い」 「何が?」 「……あずきバー」 そう言うと長屋くんは左手であずきバーにデコピンしてみせたけれど、まだまだ固そう。 結局、長屋くんが食べ終わるのを待って、じゃあと手を振った。