その後、龍崎と早乙女は私を部屋へと案内してくれた。
龍崎が部屋の入り口で声を出した。
「恵美様、こちらがお嬢様のお部屋でございます。一応必要と思われるものは用意致しましたが、足りないものがございましたら、私どもにお申し付けください。」
私は気になっていたことを、二人に尋ねた。
「あ…あの…この部屋は、恵お嬢様がお使いだった部屋ですか?」
すると、今度は早乙女が話し始めた。
「いいえ。恵様の部屋は奥様がそのままにするように…とのことですので鍵を掛けてそのままになっております。」
「鍵がかかっているということは、入ることは無理ですね…」
「はい。申し訳ございません。」
私は、恵お嬢様のことを知りたかったのだ。
同じ顔であっても別の人生を送って来た姉妹だ。
もう叶わない望みだが、恵お嬢様に会いたかった。



