この関係には名前がない

「宇宙の姿なんて本当のことは誰にもわからないし、星だって地球から見なかったらもっと違う形に見えるはずですよ」
彼はテキトーな星空を見上げながら笑う。

「星だって星座だって、勝手に名前がつけられて勝手に意味を持たされてさ、そんなもの無い方がいいことだってあると思う」

「せっかくなのに、ダンボールに映っちゃってもったいないね。元の真下くんの部屋の時に見たかったな……」
来てみたかった。真下くんの暮らしてた部屋。

「……」
急に黙ったかと思ったら、彼は「はあっ」とため息をついた。

「はじめから思ってましたけど、木崎さんてすげー無防備ですよね」
思わず顔を見る。

「あんな風に酔っ払って、男の部屋のドア開けさせて」
返す言葉もない。

「隣人のよく知らない男に簡単に『よろしく』なんて笑顔で言っちゃうし」
「え……」
でもそれは……。

「こうやって、俺の部屋に簡単に上がっちゃうし、元の部屋に来てみたかったみたいな顔するし。だいたい今日だって、またやったし」

手持ち無沙汰なのか、ペリペリと、ビールのラベルを剥がしている。