この関係には名前がない

「ビール、1種類しかないんですけどいいですか?」
コクリとうなずく。

彼がいつも飲んでる水色のラベルのビール。
猫が描いてあるって今日初めて知った。

二人で床に座って、積み重なった段ボールに寄りかかる。

「いつもこのビールだったね」
真下くんが栓を開けてくれたビールを受け取りながら、いつでも聞けた質問を今日初めてしてみる。

「これベルギービールで結構めずらしいのに、なぜかそこのコンビニで売ってるんですよ。だからつい」
「あそこの品揃えってちょっと変わってるからね。葉巻とか売ってるし」

二人で瓶を「コツン」とぶつける。

「苦っ」
「黒ビールです。苦手でした?」
「苦手っていうか、あんまり飲んだことないかも」
慣れれば好きになれそうな気がする。

「真下くんて、本当に大人びてるよね。考え方も好みも。21歳とは思えない」
「もう22歳になってますよ」

「そうなの? 誕生日いつ?」
「11月」

「言ってくれたら良かったのに」
「木崎さんは?」
「5月。だから私は25歳のままだよ」

こんな話も初めてしてる。