この関係には名前がない

「それ、中身はつまみセットです。木崎さん専用ご挨拶」
真下くんはいつもみたいに笑って言った。

「あれ? でも、4月からは院生なんでしょ? 引っ越さなくていいんじゃないの?」

「彼女と暮らすことにしたんですよ。向こうが就職して会いにくくなるからって」

「ふーん……そっか」

ごくごく普通の、よくある話。

「いつ? 引越し」

「明日」

「え、ずいぶん——」
急なのは私が避けてたからだ。

「だから、最後に木崎さんと飲んでおきたいなって思ったんですよ」

最後か。
バカだなぁ……大事な時間がラス(いち)になっちゃった。