この関係には名前がない



「テキトーに座ってて」

「え……これ、どうしたの」
彼に招かれて上がった部屋で、呆然と立ち尽くす。

そこにあったのは大量の段ボールと、ほとんど床の見えたがらんとした部屋だった。

「引っ越すんですよ」
「え……?」

「挨拶に行ったのに、最近木崎さんとタイミング合わなくて」
そう言って真下くんが差し出したギフトらしき何かを無言で受け取る。

「全然ベランダにも出てこないし」
「……忙しくて」

……嘘。

本当は、真下くんと彼女が一緒にいるのを見た日から彼を避けていた。

週末は後ろめたさと不安な気持ちを抱えたまま彼氏の家に泊まりに行っていたし、平日もベランダには出なかった。

そして今日、久しぶりに飲み会に参加したら感情がぐちゃぐちゃになってしまってこの体たらく。