「さて問題! 黄色の炎色反応を起こす金属は?」
「えっいきなり? ナトリウムだよね」
「正解! さすがカナデくん」

叶居さんが急にテスト勉強みたいなクイズを出してきた。

「じゃあ僕からも。リチウムは?」
「えっとね、ケンティーはリッチなロッソだから赤!」
「正解! でもその覚え方なに?」
「友達が推しで覚えるって言ってて私もそれで覚えちゃって」
「誰か知らないけど、要はイメージカラー?」
「そんな感じ」

僕たちは火薬当てクイズをしたり、どっちが長く点いているかだとか、くだらないことを言い合いながら過ごした。ようやく目が慣れてきた頃には、激しく火花を散らす花火はなくなっていて、残るは束になったままの線香花火が置かれているだけになっていた。

「楽しい花火150本入りって袋に書いてあってさ、60本が線香花火ってアリ?」

線香花火をきっちり30本ずつに分けた叶居さんが少し不服そうに眉を上げて呟く。

「綺麗な、だったら間違ってないのかも」
「だよねぇ」