女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





「あ、いやその……思ったより照れくさいものだな」




確かに声だけは平然としていたものの。

口元に手をやる加賀見先輩は、耳までしっかり赤くなっていた。


予想していなかった反応に、のどの奥で「んぐ」と変な音が鳴る。


か……

可愛いな? 何なのこの人??




「可愛いな? 何なのこの人??」


「……結局口に出てるぞ」


「あ」




ついつい。口を押さえ、形ばかり反省している感じを醸し出しておく。

加賀見先輩はこれ以上赤くなった顔を見られてなるものかとばかりに窓の外を向いてしまった。


そのタイミングで、前の運転席からわざとらしい咳払いが聞こえてくる。


……そうだった。この車は自動運転車でも何でもないんだった。誇り高き星彩学園の生徒にあるまじきIQ低めの会話を運転手さんに聞かれてしまった。




「律弥様。この先、どうやら通行止めになっているようです」


「通行止め?」


「はい。どうやら交通事故の影響らしく」