女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





一方。天然でお馴染み加賀見先輩は、いったい私が何を恥ずかしがっているのかイマイチ理解できないらしい。

形の良い目を不思議そうに瞬かせて、「大丈夫か?」と聞いてくる。

耐えきれなくなって、顔を先輩から逸らして前を向いた。

そして仕返しを試みる。




「そっ」


「そ?」


「そういう先輩だって、私服姿すごくかっこいいですよっ!」




言われたことをそのまま相手にも言い返すという、とっても難易度の低い仕返し。

既に十分恥ずかしい思いをしている私に怖いものはない。


自分が褒められたときより何倍も恥ずかしい気がしないでもないけど、たぶん気のせい。




「そうか? ありがとう」




しかし私の仕返しに対する先輩の返事は、とてもあっさりしたものだった。


くっ……これだから褒められ慣れてる人は……。照れる気配ぐらい見せてくれよ。


あまりの悔しさに思い切り先輩を睨みつける。




「……え」




だけど顔を見た瞬間、悔しさは一気に引いた。