女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




その心配はしたことがなかったな。

私は財布から百円玉を一枚取り出して、うさぎをモチーフにした流行りのキャラクターのマスコットが取れるUFOキャッチャーに入れる。ちなみにこのキャラの名前はぴょん吉郎という。

色々な角度から慎重に確認したつもりだったけど……




「あー……」




アームは一瞬マスコットを持ち上げたと思ったけれど、すぐにするりと滑り落ちて元の場所に戻った。




「こんな感じで、そう簡単には取れないようになってるんです。だから経営は全然大丈夫かと」


「へえ」




動くアームを物珍しそうに眺める加賀見先輩。

心なしか、そわそわとしているように見える。




「俺も挑戦してみていいのか?」


「もちろん」


「カードは使えるだろうか」


「使えるわけがなかろう。なんで高校生なのにクレカ持ってるんですか」


「デビットカードだからな」




結局先輩は、それでも少しだけ持っていた現金を両替機に入れた。

じゃらじゃら百円玉が出てくるところを見るのすらちょっと楽しそうだ。