女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




私は笑って、先ほどから繋がれていた手をぎゅっと握り返した。


半分ほど開いた窓から、柔らかな風がふわりと入り込んでくる。

目を細めて外へと目を向けた。




「春ですね」


「そうだな」




先輩となかなか衝撃的な出会いを果たしてから、もうあと二カ月ほどで一年が経つ。

まっすぐで真面目な性格に絆されてしまったせいで、面倒な役回りになってしまった……なんて最初は思っていた。

だけど今はただ、この人とこうして触れていられるという事実が幸せで。


一時の別れが寂しくないと言えば嘘になる。

だけど、これから何年先、飽きるくらいに何度も寄り添い合っていられるのなら……文句なんてあるはずもない。




「先輩。出会ってくれて、好きになってくれてありがとうございます」




そう言って、私はそっと彼に寄りかかった。




-fin-