疑いの目を向ける私に、先輩は心外だと言いたげに肩をすくめる。
「そのすぐ後、瀬那が転んで俺を下敷きにしただろ?」
「あ、ああ……そうでしたね」
「そのとき近くで目が合って、……綺麗だなと思ったんだ」
反射的にすっと息を吸った。
自然と蘇るのは、あの日の光景。
私も思っていた。
先輩の目、すごく綺麗だなって。
……と、ぽやぽやと思い出に浸りかけて、慌てて首を振った。
「それは記憶の美化では!? そもそも一目惚れされるほど大層な顔してませんよ私!」
「何を言っている。瀬那は誰よりも可愛い」
「なっ、またそんな恥ずかしいことを……!」
「最初少しはあった恐怖心がいつの間にかゼロになったのだって、瀬那のことが好きだという気持ちが徐々に強くなったからだと考えたら辻褄が合う。もちろん慣れたからというのもあったのだろうが」
先輩は大真面目にそう言って、それからちょっと拗ねたように目を逸らした。



