女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




「前から思っていたが、ただ高等部が終わるというだけなのにずいぶんと大袈裟に祝うものだな。卒業生の95%は来月からもすぐそこの大学棟で引き続き顔を合わせるというのに、何をそこまで盛り上がれるのだろう」


「それ私も思いましたけど、律弥先輩は5%側でしょ」



素早く突っ込めば、先輩はハハっと声を出して笑う。

私もそれに合わせてちょっと笑って、だけどやっぱり今日ばかりは同時に涙も込み上げてきて。

卒業式という空気に当てられてしまっているのが悔しい。


引っ込め、出てくるんじゃない涙。

そう念じながらうつむいていると、不意に伸びてきた手が私の頬に触れた。

優しいその手に前を向かされ、視界に先輩の優しい笑顔が映る。




「泣いてませんからね。別に今日お別れってわけでもないですし。出発の日は空港までばっちり見送りに行くつもりでいますから」


「そうだな」




──付き合い始めて4ヶ月。私たちは多分、他のカップルに比べるとペースは遅めなのだと思う。