女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




そういうセレブっぽいというか、おしゃれ感満載のイベントをやりたがるのは実にこの学園の人たちらしい。学園行事でお茶会するぐらいだもんな。

ただ、ここのプロムは参加者が卒業生限定のため、私たちは招待してもらうことができない。

この前累くんに「二年後はパートナーとして参加しようね!」という何とも反応に困る冗談を言われたっけな。


私は何度目かわからない深いため息をついて、時間を確認しようとスマホを見る。

すると、そのタイミングでちょうど通知が入ってきた。




「あっ」




内容を見て、反射的に背筋を伸ばす。

……まずい。急がねば。


振り返って、相変わらず怠そうにのろのろ片付けをする男の先輩にびしっと言った。




「キビキビ動いてください牧村さん。あと五分で終わらせますからね!」


「え、どうしたの突然のやる気」




私はそれに答えることはせず、体感的には先ほどの三倍のスピードで片付けを再開した。