女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




きゅっと、繋ぐ手に力を入れる。

一度小さく深呼吸をして、こちらを見下ろす先輩の目をじっと見た。




「実はですね、私……加賀見律弥先輩のことがめちゃめちゃ好きなんですよ」


「っ……!」


「遠くに行っちゃうのは寂しいけど、大好きだから二年間とか余裕で待てちゃったりします。むしろ私の存在が何かしら先輩の枷になるなんてことになったら超落ち込むから、行く気があるならフランスでもオーストラリアでもケニアでもとっとと行きやがれって感じです」




一息でそう言い切ってやった。

……言ってから、オーストラリアの森でコアラと戯れたりケニアの大草原でキリンに餌付けする先輩の画が浮かんでじわじわ面白くなってきた。

ふふ……やばいツボった。笑う場面じゃないのに爆笑しそう。耐えろ。




「うん、まあコアラとキリンは置いておいて……ふふ」


「コアラ?」


「何でもないです」




私はきゅっと唇を引き締め、わざとらしく咳払いをする。