女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




先輩は今こうして元気にしているのだから、最悪の事態にはならなかったのだとわかってはいる。

それでもその言葉を聞いて、ほっと胸を撫で下ろさずにはいられなかった。




「犯人は10代から20代前半ぐらいの女性の不良グループでな。金欲しさにロクな計画も立てずに犯行に及んだ素人集団だったらしい」


「それで警察はすぐに犯人を捕まえられたんですね」


「ああ。おかげで俺は大きな外傷もなく助け出された。だが──」




先輩は自分の手のひらを見つめ、笑みを貼り付けているのに泣きそうに見える……そんな浮かべる。




「その日以来、女性に近づいたり、触れたりすると……気を失うほどの恐怖を感じるようになってしまった」




はっと息を飲みこんだ。

地雷かもしれないと思って聞いたことがなかった先輩の女性恐怖症の原因。

これがそうなのだ。




「誘拐犯たちに何をされたのか詳しく覚えているわけじゃない。ただ恐怖心だけが残って、時間が経っても消えるどころか悪化していった。まあ、後は知っての通りだ」