女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




先輩はまたゆっくり歩き、道の角まで来て指をさす。




「星彩学園と違って、車で送迎される生徒はまれでな。目立つから、迎えにきてもらうのは学校から少し離れてあのあたりだった」


「へえ」


「で、小学二年生のとき。いつものように迎えの車が待つ場所まで歩いていたら、突然見覚えのないワンボックスカーがここに停まって、中から出てきた人間にそのまま誘拐されてしまったことがあった」


「……はい!? 誘拐??」




ちょっとした思い出話をしているのだと思って軽く聞いていたら、いきなり不穏すぎる言葉が出てきて面食らう。

あまり表情を出さず淡々と言う様子を見るに、冗談という感じではなさそうだ。




「毎日そうやって高そうな車で送迎されてたから、お金持ちの家の子どもだろうと目を付けられてたってことですか?」


「そうなんだろうな」


「そ、それでどうなったんですか?」


「犯人たちはその日のうちに捕まったよ」