女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




何当然のことを改めて。

いや、私だって春から先輩と離れるかもしれないというショックもあって怒っていたのだけど。

でも私の存在が留学自体を迷わせているとまではさすがに思っていなかったというか。


……というかあの、せめてもうちょっと照れながら言ってもらえませんかね??

客観的に見たら言ってる側の方が絶対恥ずかしいのに、顔が赤くなっているのは私だけ。何故。


口を開こうとすると勝手にだらしなくにやけてしまうので、私はどうにか頑張って口を閉ざす。


そして、静かになったそのタイミングを見計らったかのように愉快な音楽を鳴らすロボットが料理を載せてやってきた。




「とりあえず食べるか」


「そうですね」




ちょっとしたことにも育ちの良さというのは出るもので。

彼にかかれば、備え付けのフォークとスプーンは銀食器に、リーズナブルなトマトソースのパスタは高級レストランのシェフこだわりの一皿に見えてくる。

そして先輩は、この値段でここまでのクオリティーを出せるものなんだな、と感心するなどしていた。