女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





熟考の末、先輩はパスタを、私はモンブランを注文した。

タブレットの画面に「ご注文ありがとうございます」という文字が表示されたのを確認して、私は軽く息をつく。




「あの、先輩」




どう切り出そうか。

迷いつつ呼びかけると、楽しそうに顔を輝かせていた加賀見先輩はすっと表情を引き締めた。




「もしかして聞きたいのは留学のことか?」




学校で私が「デートをしよう」と言いだした時点で、何か話したいことが──というか、留学のことで文句を言われると察していたのだろう。

きっとお母さんから、あの日私と何を話したのか聞いたのだ。

だからずっと、ちょっと気まずそうな表情をしていたわけだ。




「これまで何回か進路の話をしたことありましたよね。先輩はずっと内部進学の予定だって言ってました」


「交換留学制度を利用するつもりだから、一応星彩学園の大学部に在籍はするんだ……。3年生からはまたこっちに通う予定で……」


「つまり、二年間は向こうにいるんですね」