女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





「色々とお話しできて良かったです。送ってくださりありがとうございました」




うちのある住宅地が近づいてきたところで車を止めてもらった。

私は、先輩のお母さんと運転手さんに順に頭を下げる。




「わたしの方こそ、瀬那さんと話せて楽しかったわ。引き留めてしまってごめんなさい。またいつでもうちにいらしてね」


「はい……!」


「律弥がフランスへ渡った後も気にせず来てくれていいですからね!」


「はい、先輩がフランスへ行った後も…………………………え、フランス?」




西ヨーロッパに位置する国で、エッフェル塔や凱旋門、ベルサイユ宮殿、ルーブル美術館等が有名。首都はパリ。気候は比較的温暖で、日本との時差は約8時間。

そんな情報が頭の中をすーっと流れる。




「フランス……って、何の話ですか?」




震える声で尋ねた私に、先輩のお母さんは不思議そうに首をかしげた。




「律弥は春からフランス留学の予定でしょう? 試験はまだだけど、あの子が落ちるとも思えないし」