認識の違いなどもありつつ、たどり着いた関係性。
実感があるかと問われれば首をかしげてしまうぐらいふわふわした気持ち。
だけどこの感じも、時間が経てばきっと馴染んでくるのだろう。
目指していたバス停が見えて、私はだらしなくにやけていた頬を押さえる。
そのときだった。
「待って瀬那さん! やっと追いついたわ」
すっと通り過ぎるものと疑わなかった高級車が、私の隣でピタリと止まった。
すっと窓が開いて顔を出したのは──数時間前に顔を合わせた、高校生の母にしては若く見えて上品な雰囲気の女性。
「加賀見先輩のお母さん……」
「お家までお送りするから乗ってくださらない? 少しお話しがしたいの」
その言葉に思わず身構えてしまう。
「え? あ、えっと……」
先ほど家で見かけたときは何だか愉快な人だと思った。
だけど、あの態度は息子の前だったからではないか。



