女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。





「そうだな。川咲は綺麗だ」


「ネックレスが、って意味で言いましたよ私は」




相変わらず人を褒めることにためらいがない。

私はどうにか冷静に返事をするけれど、勝手に口角が上がってしまう。


不思議だ。

関係に名前が付いただけで、人はこれまで幸せな気持ちになる。


私は今日、それを始めて知ったのだ。