女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




「わ、確かにこれは使いやすそうでいいですね。ウサギの刺繍が入ってて可愛い。ありがとうございます」


「……」


「……」



そうそう、こういうのこういうの。

お金に余裕のある人らしいブランド選び。だけど高校生らしさのある価格帯。完璧じゃないですか。


うん……。

唐突に、先輩が文字通り頭を抱えた。



「……そのハンカチ、結構前に買ってあったんだ。友人として渡してもおかしくないものを一生懸命考えてな」


「そ、そうなんですね」


「だけど学園祭の後、恋人になったのならアクセサリーをプレゼントしても許されるだろうと思って、ものすごく浮かれながらこっちのネックレスを買いに行って……」


「……」


「なあ川咲。俺と付き合うのはそんなに嫌か?」




上目遣いがあまりにもズルい。

凛とした雰囲気の三白眼が不安げに揺れている。




「嫌なわけ、ないじゃないですか……」



先ほどからずっと飲みこみ続けていた空気を、ため息として大きく大きく吐き出した。