女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




「恥ずかしいところを……本当に恥ずかしいところを見せて申し訳ない。事前に伝えたらとやかく問い詰められて面倒だから黙ってたんだが……あれなら伝えておいた方がマシだったな……」


「お母さんも執事さんも、こう……楽しい人ですね」




精一杯やんわりと言えば、先輩はさらに疲れた表情をする。


そうこうするうちに、先輩は一つの部屋の扉の前で止まった。




「入ってくれ。多少散らかってはいるんだが……」


「お、お邪魔します」




先輩の部屋。

大きな家だから、案内されるのは先輩個人の部屋じゃなくて応接室みたいなところだったりするかな? と予想していたけれど外れたらしい。

入室を促されて、私は今さらながら緊張してきた。自分でも心臓の音が聞こえるレベルだ。


恐る恐る廊下と部屋の境界を越え──思わず呟いた。




「広……」




そこは、私の部屋の十倍ぐらいありそうな大きな部屋だった。