「あ、あの……」
「お名前は? おいくつ?」
「川咲瀬那です。16歳高校一年生……」
「瀬那さん。貴女、本当に律弥のお友達?」
「こ、後輩です」
執事さんが「奥様」と呼んだのだから、若く見えるけどこの人は恐らく先輩のお母さんだろう。
女性恐怖症の先輩がこれまでに女友達を家に連れてくるようなことがあったとは思えない。物珍しくて値踏みされているのだ。
つーっと、背中に冷や汗が流れた。
これ、私が一般家庭の庶民だと知ったら嫌がられるやつなのでは? という可能性に思い当ったからだ。
きっとこのまま質問は家庭事情へと及ぶ。
一般的なサラリーマンを親に持つ庶民です、と正直に答えたらどんな反応が返ってくるだろう。
今向けられている好奇の眼差しは一気に冷め、目に見えて素っ気なくなるだろうか。
それとも、「あんたなんか息子の友達にふさわしくない!」だとか「財産目当てで近づいた女狐め!」だとかといった調子で罵倒されるのだろうか。
どっちも辛いな……。できれば平和に誤魔化したいところ。



