女嫌いなはずの御曹司が、庶民の私を離しそうにない。




上品で洗練された老紳士の執事さん、初対面の人に失礼だな??

つい加賀見先輩に初めて会った日のことを思い出した。

あのときの先輩も「女装した男だったりしないか?」と聞いてきたっけ。




「中野さん、さすがにそれは失礼だ。川咲はどこからどう見ても綺麗な女性だろう」




今でこそこんな風におっしゃるけど、あの日受けたショックは忘れてませんからね先輩。無かったことにはしてあげませんよ。




「そう、で……ございますか。本当に……坊ちゃんが……女性を……」




それでもって執事さんは、もう一度私の顔をじっくりと観察して……




「奥様ああぁぁぁぁ!坊ちゃんがあ!! 律弥坊ちゃんがああ! 女性を! 女性のお友達を連れていらっしゃいましたああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」




どこから出てるのか不思議でならないほど大きな大きな叫び声を上げた。


広い玄関ホールに響き渡る声。


……その反響がようやく治まった頃。